実家・空き家の片付けに、新しい選択肢が増えています
実家や空き家の片付けといえば、これまでは「自分たちで少しずつ片付ける」か、「専門業者に依頼する」かの二択が一般的でした。
しかし近年、空き家問題や高齢者の単身世帯の増加に対応するため、自治体や公共機関も少しずつ支援の枠を広げ始めています。
たとえば、自治体が一般廃棄物収集運搬業者を紹介してくれる制度や、シルバー人材センターによる片付け支援など。
これらは費用も抑えられやすく、時間に余裕がある方や、急を要しない場合には非常に有効な手段となり得ます。
もちろん、公的な支援には「対応地域の限定」「回収品目の制限」「立ち会いが必要」などの条件もあり、すべてのケースに万能とはいえません。
従来の片付け方と言えば
今まででは、実家や空き家を片付けるとなれば、まずは「家族が自分たちでやる」というのが一般的でした。週末に通って片付けを進めたり、年末年始やお盆に帰省して兄弟姉妹と一緒に手を動かす…そんな風に、時間と手間をかけて少しずつ進めるのが“当たり前”とされていました。
もうひとつの選択肢は、「不用品回収業者」や「遺品整理業者」などの民間業者にまとめて依頼する方法です。家財の量が多かったり、遠方に住んでいて自力では難しい場合に、多くの方が選ばれてきた手段です。
ただし、これらの方法にはそれぞれ「時間がかかる」「費用が読みにくい」「信頼できる業者を探すのが難しい」などの課題もありました。
今では、こうした従来の方法に加え、自治体の支援制度や地域サービスをうまく組み合わせた新しい片付け方が広がりつつあります。
実家・空き家の片付け｜3つの従来型の進め方
1. 自治体の制度を使いながら、自分たちで片付ける
一番費用がかからない方法ですが、時間と労力が必要です。粗大ごみの回収日を調整したり、分別・搬出もすべて自分たちで行う必要があります。高齢の親が住んでいた場合は、物量が多く難航することも。
2. 一部を業者に依頼し、あとは自分たちで進める
大型家具や処分しにくい家電など、難しい部分だけ不用品回収業者や遺品整理業者に任せ、残りは自分たちで対応する方法です。費用を抑えつつ、作業負担も軽減できるバランス型の進め方です。
3. すべてを専門業者に任せて対応してもらう
時間がない、遠方に住んでいる、兄弟間で協力が難しいといった事情がある場合は、まるごと専門業者に任せる方法もあります。立ち会い不要やオンライン対応、行政手続きのサポートなども含まれるケースが増えています。
新たに“動き出した”行政の2つの頼れる助っ人
1. 一般廃棄物収集運搬業者の利用
— 自治体の許可を受けた業者による、合理的で安心な片付け手段 —
一般廃棄物収集運搬業者は、通常は自治体のごみ収集業務を担っている許可業者ですが、現在の社会状況（高齢化・空き家問題など）を受けて、一般の方からの個別依頼にも対応するようになっています。
この場合、自治体のルールに沿って適切に分別された廃棄物であれば、ご家庭から役所のごみ処理場まで、これらの許可業者が運搬・処理を行ってくれます。
処理費用は、基本的に自治体の通常のごみ処理料金が適用されるため、廃棄物処理コストが抑えられるという大きなメリットがあります。
ただし、利用にあたっては以下の点に注意が必要です。
■ 利用の実際と注意点
- 作業内容は、「ご家庭でまとめられたごみを、玄関先などから積み込み、処理場へ運ぶ」というのが基本です。
- 作業料金や運搬費用は、お客様と業者との直接契約となり、自治体は関与しません。
- サービス内容（分別の支援の有無、積み込み補助、対応エリアなど）は業者ごとに異なるため、事前確認が重要です。
- 処理費用自体は抑えられるため、全体としてリーズナブルに収まるケースが多くなっています。
2. シルバー人材センターの活用
— 費用を抑えつつ、分別や軽作業を任せられる“公的支援”の選択肢 —
シルバー人材センターは、国が支援する高齢者就労支援の一環として、地域の清掃・草刈り・軽作業などを請け負う制度です。実家や空き家の片付けにおいても、「仕分け」「分別」「庭木の手入れ」「家周りの清掃」など、軽作業を中心とした依頼に向いています。
■ 活用のメリット
- 作業は、地域に根ざした高齢の方（60歳以上の登録者）が行います。
- 費用は最低賃金水準で設定されており、民間業者と比べてもリーズナブルです。
- 分別や仕分けなどのコツコツとした作業に適しており、丁寧さに定評があります。
■ 利用時の制約・注意点
- 高所作業、重量物の運搬、車両運転を伴う作業は禁止されており、片付け全般を任せることはできません。
- 依頼に際しては、必ず作業内容の詳細を事前にセンター担当者と打ち合わせる必要があります。
- 現場では、お客様側が“作業の指示役”を担う必要があり、指示の出し方次第で効率が大きく変わるため、注意が必要です。
- 登録されている会員の状況により、すぐに人員の手配ができない場合もあるため、早めの相談が望ましいです。
人手が足りない。でも時間は多少ある方へ
実家・空き家の片付けに使える“新しい選択肢”とは？
「全部自分でやるのは難しいけれど、時間に余裕はある」
「費用はできるだけ抑えたいけれど、頼れる人がいない」
そんな方にこそ検討いただきたい、従来型と専門業者の中間にある片付け方です。
たとえば、以下のような組み合わせです：
- ✅ 一般廃棄物収集運搬業者に「自分たちで分別したごみ」の運搬だけを依頼
- ✅ シルバー人材センターに「分別作業や軽作業」だけを手伝ってもらう
- ✅ 難しい作業や量が多い箇所だけを専門業者に依頼（部分利用）
これらはすべて「役所の制度の範囲で認められた方法」であり、使い方によっては費用を抑えながら、効率的に片付けを進めることが可能です。
時間がない、遠い自治体で対応できない方には
従来の片付け方法では、自治体のごみ収集日に合わせて少しずつ出したり、自家用車でごみ処理場に運んだり、粗大ごみの戸別収集を依頼する形が一般的でした。時間と労力はかかりますが、ご自身で対応できる方にとっては、費用を抑えられる方法でもあります。
しかし、最近では状況に応じて、シルバー人材センターの支援や、一般廃棄物収集運搬業者による大量回収サービスを併用することで、よりスムーズに、かつ負担を減らして片付けを進める選択肢が広がっています。
とはいえ、これらの支援では対応が難しいケースも少なくありません。たとえば、
- ご実家が遠方にあり、何度も通えない方
- お仕事の都合で、土日や深夜しか動けない方
- 不動産売却のため、急いで残置物を撤去したい方
- 賃貸契約の退去日が迫っており、すぐに明け渡す必要がある方
- 遺品整理において、家族が集まれない・話し合いがまとまらない方
このような事情を抱える方には、専門の片付け業者による対応が適しています。準備から作業、完了報告までをワンストップで任せられるため、精神的・時間的な負担を大きく軽減できます。
行政サービスと専門業者、どちらが自分に合っている？
それぞれの特徴を比べてみましょう
| 項目 | 行政サービス（ごみ収集・戸別収集・シルバー人材など） | 専門業者（家財整理・遺品整理業者など） |
|---|---|---|
| 対応範囲 | 分別されたごみのみ／制限あり（重量・高所NG） | 家具・家電・汚部屋・残置物など一括対応可能 |
| 手配のしやすさ | 日程に余裕が必要／空き状況に左右される | 即日・休日・夜間対応も可（業者により異なる） |
| 料金 | 処理費用のみ（最安）／人件費は別途 | 作業費・車両費・処分費が一式見積もりに含まれる |
| 負担 | 指示・分別・搬出などを自分で行う必要あり | 立ち会いなしでも完結。丸ごと任せられる安心感 |
| 利用制限 | シルバー：高所作業NG、運転NGなど制約あり | 特殊清掃・貴重品探索・供養など多彩な対応可 |
あなたの状況に合った方法を選ぶのがポイントです
「時間や手間をかけられるなら行政サービス」「遠方・急ぎ・大量なら専門業者」というように、状況や目的に合わせて選択することで、費用も負担も最適化できます。
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