初めての家・空き家売却(Ⅳ)知らないと損する税金のこと

実家片付け

筆者ご紹介

溝畑憲人(みぞはたけんと)
【資格】宅地建物取引士・賃貸不動産経営管理士
1級ファイナンシャル・プランニング技能士

不動産取引に税金はつきものです。不動産取引に係る税金の知識がない場合、支払わなくて良い税金を払ってしまうことになります。ここではその中でも特に重要な制度を紹介しますので、是非参考にして下さい。
(申告の手続きは、税理士さんです。申告は、お住いの税務署で、わからないときは、親切に相談に乗っていただけますのでご自分で申告することは可能です。)

1. マイホームを売った時の特例

 通常、物を売って利益が発生した場合には、所得税を支払う必要があります。これは不動産についても同様です。しかしマイホーム(土地も含む)を売却し利益が発生した場合、最大「3.000万円の特別控除」という制度があるのです。わかりやすくお伝えすれば、「売却益が出ても3,000万円までなら税金を納めなく良いですよ。」という制度です。そのためマイホームを売却して利益が発生しても、3,000万円までなら税金を払わなくて良いと覚えておくとよいでしょう。

(主な適用条件)

・現在、住んでいる住宅であること
・住まなくなった日から3年目の年の12月31日までに売却すること
・前年、前々年に他の特例を適用していないこと(併用可能な特例あり)

※なお、3,000万円の特別控除の適用を受けるには、確定申告が必須の条件となります。不動産を売却して利益が発生しそうな場合は、はやめに準備をしておきましょう

2.被相続人の居住用(空き家)財産を売ったときの特例

 マイホームを売却した場合、3,000万円の特別控除制度があると紹介しました。では相続で不動産を取得し売却した場合、どのような制度があるのでしょうか。結論から申しますと、マイホームを売却した場合と同様に、3,000万円の特別控除を受けることができるのです。しかし、マイホームの場合と適用条件が異なるため、主なポイントをまとめております。是非こちらも覚えておいたほうが良いでしょう。

(主な適用条件)

・昭和56年5月31日以前に建築されたこと。
・相続の開始の直前において、被相続人以外に居住をしていた人がいなかったこと。
・相続の開始があった日から3年を経過する日の属する年の12月31日までに売ること。
・売却代金が1億円以下であること。
・他の特例の適用を受けていないこと。(併用可能な特例あり)

さらに詳しく調べたい場合には、近くの税務署で相談する、国税庁のホームページで確認することができます。(2022.4.1現在)

3. 小規模宅地等の特例で相続がこんなに安くなる

 小規模宅地の減額特例とは、「亡くなった人が自宅として使っていた土地は、配偶者か、亡くなった人と同居していた親族が相続すると8割引きの評価額で相続税を計算しても良いですよ」という制度です。例えば5,000万円の土地であれば、たった1,000万円で評価できるという減額の幅が非常に大きな特例です。この特例は小規模という名の通り、使える面積に限度があります。それが「330㎡」、つまり「100坪」です。ただ100坪を超えると利用できないということではなく、100坪を超える部分は通常の評価額で計算をします。この特例が使えるか、使えないかによって、相続税が何百万~何千万変わることもあります。この特例を利用することで、相続税が0円になる人も大勢いるのです。(相続税の申告は必要)

(ポイント)この特例は、「自宅を誰が相続するか」で適用の可否が決まります。特例を利用できるのは「2人」です。この2人とは誰を指すのでしょうか。

1人目は配偶者です。配偶者が自宅を相続した場合は、無条件で8割引きになります。
2人目は、亡くなった人と同居していた親族です。この「同居」の期間は、ほんの少しの期間でも問題がありません。是非この特例は覚えておいて下さい。

※アパート経営等をすすめてくる不動産会社では、この特例を無視して「今のままでは、相続税がこんなに高くなりますよ!アパート経営しませんか?」という営業が盛んに行われております。よくよく営業資料を見ると隅の方に小さく「小規模宅地の特例は考慮しておりません」という文言が入っていたりします。資産運用を検討している方は、慎重に検討するようにしましょう。

4.放置は厳禁!必ず不動産の今後について対策しておこう

 現在、我が国では空家問題が深刻化しております。その為、国は放置されている空き家の流通が活発になるように、「空家等対策特別措置法」を施行しました。これにより「特定空家」の指定を受けた不動産は、固定資産税が現在の「6倍」になる可能性があるのです。ではどのような空家が特定空家に指定されるのかを紹介します。

1. そのまま放置すれば倒壊等著しく保安上危険となるおそれのある状態
2. そのまま放置すれば著しく衛生上有害となるおそれのある状態
3. 適切な管理が行われていないことにより著しく景観を損なっている状態
4. 周辺の生活環境の保全を図るために放置することが不適切である状態

 簡単にいえば放置しないで下さい。ということです。このようなケースに陥るのは、相続で不動産を取得したが、使い道がわからないというケースが非常に多いです。

自身の不動産が、特定空家に指定されないためにも不動産の有効利用方法等は、事前に計画しておくことが望ましいといえます。

より詳しい内容は

(Ⅰ) 初めて方へ不動産の売り方を「現役プロ」が教えます
不動産売却の流れ

(Ⅱ)不動産を上手に売却するにはどうすれば良いのか
1.所有不動産の価値を調べてみよう
2.不動産を買取業者に売るのは得策なのか
3.不動産会社の本音/上手な頼み方
4.不動産会社選びのポイント
5.不動産会社を動かす交渉術

(Ⅲ)売却の準備をしておこう
1.不動産を売却するために準備しておくこと
2. 物件を内覧する人の気持ちになって家を見てみよう
3. 賃貸の需要があれば、買手の層が増える

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(Ⅳ)知らないと損する税金のこと
1.マイホームを売った時の特例
2.被相続人の居住用(空き家)財産を売ったときの特例
3. 小規模宅地等の特例で相続がこんなに安くなる
4.放置は厳禁!必ず不動産の今後について対策しておこう

(Ⅴ)空き家バンクについて
1. 空き家バンクとは
2. 空き家バンクを利用するメリット
3.空き家バンクの登録方法
4.空き家バンクのみに頼るのは正確なのか