初めての家・空き家売却(Ⅴ)空き家バンクについて

実家片付け

筆者ご紹介

溝畑 憲人(みぞはた けんと)
【資格】宅地建物取引士・賃貸不動産経営管理士
1級ファイナンシャル・プランニング技能士

 近年、個人間の取引の市場は、拡大傾向にあります。メルカリに代表される物品の取引だけでなく、家事代行や、民泊、恋愛といった分野も急成長を遂げており、サービスやスキルを個人間でやりとりすることが増えています。空き家バンクもこのような個人間取引に注目したサービスであり、今後このような取引形態の市場がさらに拡大することが期待できます。そこで、この空き家バンクについて詳しく紹介します。

1. 空き家バンクとは

 第4章で空き家の流通を活発にするため「空家等対策特別措置法」が施行されたことを紹介しました。この国の動きに対して、各自治体も空き家に困っている人を救うべく「空き家バンク」を創設し運営が行われるようになりました。空き家バンクの大きな特徴は、「個人間取引」と「移住者に手厚いサービスがある」という点です。

2. 空き家バンクを利用するメリット

空き家バンクでは通常の不動産取引にはない、空き家バンク独自のメリットが存在します。その代表的なものを紹介します。 

①仲介手数料が無料

空き家バンクは「個人間の取引」であるため、本来であれば必要となる仲介手数料を支払う必要がありません。そのため通常の不動産取引と比較して割安で取引ができます。また、大手ポータルサイトのathomeやホームズとの連携を行っているため、以前と比べて物件をより多くの人にアピールできるようになったのも魅力の一つです。

②補助金や助成金の対象となる

各自治体で違いはありますが、空き家バンクを利用すると、(改修工事・購入費用の助成、家財撤去費用の助成、引越し費用の助成等の様々な補助金や助成金を受けることができます。このような補助金や助成金制度が購買欲を促進させ、今後さらに利用者が増加する可能性があります。また、移住に力を入れている自治体であれば、補助金や助成金が手厚く、制度も整っているので利用者が増えていくことが予想されます。

3.空き家バンクの登録方法

空き家バンクに登録するためには、自治体の担当部署で手続きを行う必要があります。各自治体によって手続きの方法に違いはありますが、基本的な流れを紹介します。

①必要書類を提出する

各自治体で提出する書類は異なりますが、「登録申込書」「登録カード」に必要事項を記入し、担当部署へ提出します。

②自治体等が物件調査を行う

提出された書類をもとに現地確認を行います。募集予定の不動産が売却・賃貸にあたって問題がないかを調査します。

③空き家バンクに登録

登録に支障がないと判断され、価格や賃料等の条件が確定すれば「登録完了証書」が発行され、登録手続きの完了となります。

④情報公開と募集

市区町村役場のホームページや掲示板で情報が公開され募集開始となります。また、athomeやホームズといった大手ポータルサイトでの掲載も可能です。

4.空き家バンクのみに頼るのは正確なのか

これまで、空き家バンクについてご紹介しましたが、不動産会社で仲介をしないため契約後トラブルになる場合や発展途上中のサービスであるため認知度が低い地域もあります。

 一部の自治体では、民間の不動産会社と連携していることもありますので、多少の費用が発生しても、できる限り取引に入ってもらうのほうが望ましいといえます。特にこのような個人間の取引おいては、売手と買手の知識の差が片方に有利な契約になる場合もあるため、少しでも不安がある場合には、事前に自治体や信頼のおける不動産会社に相談する等の準備しておくと良いでしょう。

最後に

これまで、不動産に関する基本的な内容を紹介しました。何事にも準備が大切といわれますが不動産も同様に、売却の準備を徹底しておくことでトラブルを回避し、スムーズな売却活動へとつながっていきます。しかし全ての手続きを一人で行うことは、手間もかかりますし、わからない内容がでてきたりと大変です。そのため不動産に関して信頼のおける会社や担当者をあらかじめ探しておくと、いざという時の助けになります。
是非、自身の大事な資産を安全かつ安心に売却できるように、この記事が少しでも参考になればと思います。

編集部より
当社では、相続した家の家財整理を行っております。家財整理に伴いお庭の枝切り草取りなども行っております。この度、空き家など放置することなく上手に売却し限りある不動産を有効活用していただけるよう現役で不動産の売却や賃貸業務を行っている溝畑憲人 氏に寄稿していただきました。相続した家、マンションや生前整理を行って家の売却を検討している方々に家の売却に少しでもお役に立てていただければ、幸いです。また、快くお引き受けしていただいた 溝畑憲人氏にお礼を申し上げます。 

こちらのコーナーを担当していただいた筆者

溝畑憲人(みぞはたけんと)
【資格】宅地建物取引士・賃貸不動産経営管理士
1級ファイナンシャル・プランニング技能士
株式会社日開
〒660-0892 兵庫県尼崎市玄番北之町26-1
賃貸仲介、賃貸管理、売買仲介、投資用不動産売買、不動産買取・仕入れ、遺産相続、任意売却、リースバック、資産運用、事業物件対応、リフォーム、リノベーション

より詳しい内容は

(Ⅰ) 初めて方へ不動産の売り方を「現役プロ」が教えます
不動産売却の流れ

(Ⅱ)不動産を上手に売却するにはどうすれば良いのか
1.所有不動産の価値を調べてみよう
2.不動産を買取業者に売るのは得策なのか
3.不動産会社の本音/上手な頼み方
4.不動産会社選びのポイント
5.不動産会社を動かす交渉術

(Ⅲ)売却の準備をしておこう
1.不動産を売却するために準備しておくこと
2. 物件を内覧する人の気持ちになって家を見てみよう
3. 賃貸の需要があれば、買手の層が増える

(Ⅳ)知らないと損する税金のこと
1.マイホームを売った時の特例
2.被相続人の居住用(空き家)財産を売ったときの特例
3. 小規模宅地等の特例で相続がこんなに安くなる
4.放置は厳禁!必ず不動産の今後について対策しておこう

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(Ⅴ)空き家バンクについて
1. 空き家バンクとは
2. 空き家バンクを利用するメリット
3.空き家バンクの登録方法
4.空き家バンクのみに頼るのは正確なのか