初めての家・空き家の売却(Ⅲ)売却の準備をしておこう

実家片付け
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筆者ご紹介

溝畑憲人(みぞはたけんと)
【資格】宅地建物取引士・賃貸不動産経営管理士
1級ファイナンシャル・プランニング技能士

不動産を売却する前に、事前に確認しておかなければならない事項があります。全てを不動産会社に任せるのではなく、自身でも内容を把握しておくが望ましいといえます。

1.不動産を売却するために準備しておくこと

①境界線の調査

 不動産を売却するためには、買手に境界の明示することが売主の義務でもあります。そのため自身の不動産の境界が確定していない場合には、土地家屋調査士に相談する等、事前に段取りをしておきましょう(わからない方は、担当者から紹介していただけますので、心配いりません)

②前面道路の調査

 土地に建物を建てるためには、土地の前面道路が4m以上あり、間口が道路に2m以上接している必要があります。万が一、建物の再建築ができない場合、不動産の評価が著しく減少するため、そのような可能性がある場合には不動産会社に事前相談して対策を検討しましょう。 (わからない方は、担当者が教えてくれますので、心配いりません)

③金融機関への確認

 住宅ローンを組んでいる場合は、ローンの残債額や抵当権等の抹消手続きが行えるか確認しておく必要があります。 (わからない方は、担当者が教えてくれますので、心配いりません。また、ローンの残金があって手持ちの資金で返済できないときは、売買代金で所有権移転の時に同時に行えます。)

④リフォーム履歴の確認

 過去のリフォーム歴は、買手の判断材料に大きく影響するため、「いつ」「どのように」リフォームを実施したかを、できる限り細かくまとめるようにしておきましょう。

また、上記以外でもトラブルになる可能性があるものは事前に確認しておきましょう。しっかりと確認しておくことが、不動産の安全な取引につながっていきます。

2. 物件を内覧する人の気持ちになって家を見てみよう

 売却の準備がある程度整ったら、実際に不動産を内覧する買手の立場になって、自身の家を見てみましょう。ポイントをいくつかご紹介しますので参考にしてみて下さい。(こちらは、比較的築年数が浅い戸建て・マンションの場合です。古いケースでは、真剣に考える必要はありません。担当者とよく話して意見をいただきましょう)

①玄関から家に入った時の印象を良くしよう

(ポイント)不動産売却の流れでも紹介しましたが、玄関の印象でその家の印象が8割決まってしまうともいわれております。常に綺麗な状態を維持し、できだけ明るい印象にしましょう。また、玄関を広く見せるために家具の配置等も検討しましょう。

②水回りは清潔感が大事

(ポイント)水回りの状態も家の印象に大きく影響を与えます。特に家事を行うのは女性が多いため、できるだけ女性目線にたつことを意識しましょう。また、家を購入する場合、旦那様よりも奥様が最終判断をすることが非常に多いため、女性に好まれる物件になるように、レイアウト等も心がけましょう。

③バルコニーや庭の状態もチェックしておこう

(ポイント)内覧の際、どうしても家の中だけに意識が向きがちですが、バルコニーが汚れていたり、庭に雑草が生い茂っていては部屋の印象が良くてもトータルでマイナスの印象を与える可能性があります。家の中も重要ですが、外の気遣いも忘れないようにしましょう。

④部屋の臭いに気をつかおう

(ポイント)毎日生活している家では、部屋の中の臭いに気付かないことがよくあります。私はこれまで多くのお部屋を見させて頂きましたが、それぞれの家ごとに多少の生活臭はあります。そのため小まめに消臭スプレーや換気を行う等の対策を行い、できる限り生活臭を出さないように心がけることが、家の印象アップにつながっていきます。

⑤インテリアを設置しよう

(ポイント)インテリアの設置は、家の雰囲気をアップさせてくれます。特に観葉植物の設置やスイッチパネルの新調を行うと各段に雰囲気が良くなることが多いです。またスリッパやタオル等も安いものでも良いので、できるだけ新しいものを置くようにしましょう。

※注意点

 家を内覧してくれることは、売主にとっては嬉しいことの一つです。しかし内覧にきた買手に対し、過度にアピールをする行為は絶対してはいけません。買手の質問に対して丁寧に受け答えすることを意識して、気持ちよく内覧してもらえるような環境を整えましょう。

【ご質問】
相続した家の売却でしばらく空き家にしていました。
家の中には、親が住んでいた時のそのままです。築45年ですが、家財やゴミをそのままにしてよいですか

溝畑憲人 よりご回答
→ 放置していると、「特定空家」に指定される可能性があります。特定空家に指定されると固定資産税が現在の「6倍」になることが懸念されたり、空き家を放置しておくと建物の劣化が著しく進むためデメリットしかございません。必ず専門業者に依頼して家財やゴミの撤去を行いましょう。物件を綺麗に保っておけば、リフォームをして再利用できる可能性も高まるため、有効利用方法等を事前に検討しておくことが望ましいでしょう。

【ご質問】
年老いた両親が暮らしていたため台所や水回りの汚れがひどい状況です。素人の手では、きれいにならないと思います。ちなみに築30年のマンションでリフォームしておりません。専門のハウスクリーニング屋さんに頼んでお掃除した方が良いですか

溝畑憲人 よりご回答
→ 水回りの清掃や、汚れの程度がひどい部分がある場合には専門のハウスクリーニング業者に清掃を依頼しましょう。特に物件を売買や賃貸で募集する場合、水回りは入念にチェックされる部分でもあります。また、築30年でリフォーム履歴がないようでしたら、お部屋全体のクリーニングを依頼することも検討しておいたほうが良いでしょう。売買・賃貸で募集されている物件は、専門のクリーニング業者が清掃を行っている物件が多いため、他の物件と比べて見劣りしないように専門の業者へ依頼したほうが安心できるといえます。

【ご質問】
住んでいるマンションを売却したいと思います。上の階に子供がいて生活音が聞こえ気になることもあります。もし、内覧の時に上の階から音が聞こえませんか、と聞かれたら、答えないといけないのですが、何と答えれば、良いですか。

溝畑憲人氏よりご回答
→ 生活音が聞こえる時間帯や、音の大きさ等はできるだけ詳しくお伝えしたほうが良いでしょう。区分所有マンションも集合住宅であるため、多少の生活音が聞こえることは避けられません。そのため生活音については正直にお伝えした上で、ご自身のマンションについてのアピールポイントをお伝えしましょう。(通常よりコンクリート厚がある、防音性能の優位性等)生活に関することは、できるだけ詳細にお伝えしたほうが後々のトラブルを防ぎ、売手・買手ともに気持ちの良い取引につながります。

【ご質問】
築30年の家ですが、母が施設に入所したので家を売ることにしました。空き家になって2年くらいたちました。家財は、まだ片付けていません。庭木は、伸び、荒れてきました。売りにあたって、家財の片付け、庭木の手入れなどどの程度行っておく必要がありますか。

溝畑憲人氏よりご回答
→ 庭木については、小まめに手入れしておくことをおすすめします。庭木を放置しておくと隣接地や道路に越境してしまい近隣迷惑になる可能性があります。このような状態を放置しておくと、近隣住人も気持ちの良いものではありません。
また、物件売却時に境界の調査を行う必要がある場合、近隣住民の協力が必要になるケースもあります。良い関係を継続するためにも、家の中・外ともに綺麗な状態を維持できるよう、専門業者に依頼する等の検討をしておきましょう。

3. 賃貸の需要があれば、買手の層が増える

 不動産の売却にあたって、調べておくと良いことをもう一つ紹介します。それは所有する不動産の地域に「賃貸重要」があるかどうかです。

 もし賃貸が盛んに行われている地域であれば、賃貸需要がない地域に比べて営業手法が広がったり、顧客の増加が見込める場合があります。では何故、賃貸需要があるとこのようなメリットが発生するのでしょうか。

それは賃貸重要がある場合、不動産投資家等の参入が見込まれるためです。さらに事業として利用できるような地域にある場合、買手の幅が大きく広がります。また転勤族の方でも、もし転勤になった場合、賃貸で貸すという選択肢も選べるようになるため、購入を積極的に検討する場合もあります。このように、賃貸の重要があるというだけで物件の買手の幅が大きく広がりますので、売却の際には必ず調査を忘れないようにしましょう。

より詳しい内容は

(Ⅰ) 初めて方へ不動産の売り方を「現役プロ」が教えます
不動産売却の流れ

(Ⅱ)不動産を上手に売却するにはどうすれば良いのか
1.所有不動産の価値を調べてみよう
2.不動産を買取業者に売るのは得策なのか
3.不動産会社の本音/上手な頼み方
4.不動産会社選びのポイント
5.不動産会社を動かす交渉術

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(Ⅲ)売却の準備をしておこう
1.不動産を売却するために準備しておくこと
2. 物件を内覧する人の気持ちになって家を見てみよう
3. 賃貸の需要があれば、買手の層が増える

(Ⅳ)知らないと損する税金のこと
1.マイホームを売った時の特例
2.被相続人の居住用(空き家)財産を売ったときの特例
3. 小規模宅地等の特例で相続がこんなに安くなる
4.放置は厳禁!必ず不動産の今後について対策しておこう

(Ⅴ)空き家バンクについて
1. 空き家バンクとは
2. 空き家バンクを利用するメリット
3.空き家バンクの登録方法
4.空き家バンクのみに頼るのは正確なのか