自己所有の家・マンションや相続した家・マンションの上手な売り方をご案内いたします。
筆者ご紹介
溝畑憲人(みぞはたけんと)
【資格】宅地建物取引士・賃貸不動産経営管理士
1級ファイナンシャル・プランニング技能士
はじめに
不動産は最も高価な買い物の1つであり、人生における一大イベントと言っても過言ではありません。しかし、長い人生の中で家族が増えたり、転職や転勤老後の暮らし方の変化など「住み替えを考える転機が訪れる可能性」は誰しもあります。住まい自体も築年数が経過するにつれて、購入当時は最新だった設備が古くなり、外壁や内装などの老朽化も進み年々メンテナンスにかかるコストも必要になっていくものです。そんな、いつか来るかもしれない住み替えの転機の変わり目に慌てないために、定期的に現在の住まいの価値を把握する事はとても大切です。
また、かかりつけの病院があるように、普段から住まいについて気軽に相談できる不動産会社を選んでおく事は実際に売却になったときに、スムーズに対応できる秘訣だともいえます。
さらに2020年は新型コロナウィルスの感染拡大の影響もあり、テレワークを導入する企業が一気に増え、アフターコロナを見据えた新しい生活様式を取り入れることが提唱されるようになりました。緊急事態宣言後もテレワークを継続する、もしくは環境整えようとする企業が増えています。
その一方、自宅で過ごすことが増えたテレワーカーは、快適に自宅で仕事が出来るように、専用の書斎やワークスペースを求めて住み替えを考えるきっかけとなりました。その結果、テレワークにより通勤の利便性に対する優先度が下がり、環境の良い郊外に建つ一戸建てが注目を集める等、今まで需要がなかった地域についても価値が見直されつつあります。
この記事では、不動産を上手に売却するための『準備』『交渉』『ポイント』をまとめておりますので、今後のご参考になれば幸いです。
不動産売却の流れ
まず、不動産売却の全体像を把握しておきましょう。
1.売却相談
不動産会社へ、売却相談を行います。
(ポイント)不動産の状況を把握し、説明できるように準備しておきましょう。権利書や登記簿謄本、建築確認済証などがあれば持参するとよいでしょう。
(相続が済んでいない、家の登記が済んでいない方は、近くの司法書士事務所さんを担当者の方から紹介してもらうなどして相続登記を行ってください。)
【ご質問】家を相続したのですが、相続人は、私一人です。権利書がなかったので家は、親の名義のままですが、売買できますか
溝畑憲人氏より
→ 権利書がない場合でも売買が可能です。しかし権利書がある場合と違い手続きが必要となります。一般的な方法としては、司法書士に「本人確認情報」の書類を作成してもらう事で所有権の移転が可能となります。不動産の売買においては必ずといって良いほど司法書士が介入しますので、合わせて依頼することで手続きがスムーズになるでしょう。
また、権利書の再発行は基本的にできませんが、相続が発生した場合、相続登記(所有権移転登記)の手続きを行えば相続人に対し権利証が発行されるので、被相続人(親の)名義の権利書を紛失している場合も、新たに発行された相続人の権利証があれば不動産の売却は可能となります。相続登記は、時間もかかるので、早めに手続きをしておくことをお勧めいたします。
2.価格査定調査
不動産会社の担当者が、所有不動産の価格を調査します。
(ポイント)査定額に影響がでる事項(雨漏り、シロアリ被害等)は事前に伝えておきましょう。
【ご質問】子供がいなかった兄の家を相続し、売却をすることにしました。シロアリとか家の傷みなどは、わかりませんが、その場合の申告方法は、どうしたらよいでしょうか?
→ 建物の状況については、取引の際に「物件状況確認書」を記載して、建物の状況を告知することが一般的です。しかし築年数が経過しており、不具合の懸念がある物件については、「契約不適合責任 免除特約」を契約書にいれておくようにしましょう。この特約をいれておくことで目に見えない不具合(シロアリ、雨漏り等)が発生しても売主の責任を免除することができます。
また、近年では住宅インスペクションも活発となっているため、この制度も合わせて検討しましょう。住宅インスペクションとは、専門資格を持った担当者が、建物の状況を詳しく調査してくれる制度です。費用相場は5万円~7万円ですが、この制度を利用している物件は、築年数が経過していても買主様が安心して購入できるというメリットになります。
溝畑憲人氏より
→ 建物の状況については、取引の際に「物件状況確認書」を記載して、建物の状況を告知することが一般的です。しかし築年数が経過しており、不具合の懸念がある物件については、「契約不適合責任 免除特約」を契約書にいれておくようにしましょう。この特約をいれておくことで目に見えない不具合(シロアリ、雨漏り等)が発生しても売主の責任を免除することができます。
また、近年では住宅インスペクションも活発となっているため、この制度も合わせて検討しましょう。住宅インスペクションとは、専門資格を持った担当者が、建物の状況を詳しく調査してくれる制度です。費用相場は5万円~7万円ですが、この制度を利用している物件は、築年数が経過していても買主様が安心して購入できるというメリットになります。
3.売却価格の提案を受けます
担当者から売却予想額や売却時期について提案があります。
(ポイント)不動産のメリット・デメリットをすぐに答えてくれるか、売却査定額に根拠はあるかを確認しましょう。
4.販売計画の策定
不動産を売却するために、どのような広告活動を実施するか説明があります。
(ポイント)説明がない場合には、必ず確認し、活動内容を把握しておきましょう。
5.媒介契約の締結
不動産会社と、不動産の売却額・成約報酬等を定めた書面に契約を交わします。
(ポイント)ここから売却活動がスタートします。媒介契約書には安易に印鑑を押さず、必ず内容をチェックしましょう。
6.クロスメディアによる販売活動
SUMMO・athome・ホームズ等大手ポータルサイトに物件を掲載し、売却活動を実施することが主流です。その他チラシ配布や現場見学会の実施等の販売活動があります。
(ポイント)掲載された物件は必ず確認しましょう。また定期的に確認するためにも、物件をお気に入り登録しておくのが望ましいでしょう。
7.物件内覧
物件を実際に見てみたい、購入希望者が物件の内覧を行います。
(ポイント)物件の印象は、玄関で8割決まるともいわれています。特に玄関は綺麗に、そして明るい電気を使う等して印象アップを図りましょう。
8.購入申込
購入希望者から正式に申込を取得します。
(ポイント)申込時に一番多いのが値引き交渉です。可能であれば値引き額も含めた金額で価格を設定しておくことをお勧めします。
9.不動産売買契約
不動産の重要事項説明を行い、売買契約を締結します。
(ポイント)ここで手付金を受領するのが一般的です。手付金の相場は売買金額の5%~10%になります。手付金受領後に売主からキャンセルする場合、受領した手付金の倍額を返金しなければならないため注意が必要です。また契約書の内容について、担当者から事前に説明を受けて内容を把握しておくようにしましょう。
10.引渡し準備・各種手続き
契約書に記載された引渡日に向け、物件を引き渡す段取りを早めに行いましょう。
(ポイント)不要物の処分等が、予定以上に発生することがありますので、撤去の見積りを早めに取得しておくほうが良いでしょう。
11.引渡し
不動産を買主様へ引渡しは、不動産の所有権移転登記を行われ、売買残金を受取り全ての手続きが完了します。
(ポイント)物件内のエアコンや照明等を買主様に引き渡す場合には、必ず残しておきましょう。また鍵の交換を行っておくと親切でしょう。
より詳しい内容は
(Ⅱ)不動産を上手に売却するにはどうすれば良いのか
1.所有不動産の価値を調べてみよう
2.不動産を買取業者に売るのは得策なのか
3.不動産会社の本音/上手な頼み方
4.不動産会社選びのポイント
5.不動産会社を動かす交渉術
(Ⅲ)売却の準備をしておこう
1.不動産を売却するために準備しておくこと
2. 物件を内覧する人の気持ちになって家を見てみよう
3. 賃貸の需要があれば、買手の層が増える
(Ⅳ)知らないと損する税金のこと
1.マイホームを売った時の特例
2.被相続人の居住用(空き家)財産を売ったときの特例
3. 小規模宅地等の特例で相続がこんなに安くなる
4.放置は厳禁!必ず不動産の今後について対策しておこう
(Ⅴ)空き家バンクについて
1. 空き家バンクとは
2. 空き家バンクを利用するメリット
3.空き家バンクの登録方法
4.空き家バンクのみに頼るのは正確なのか
こちの記事は、不動産の上手な売り方についての解説記事になります。不動産会社の選び方について、今回解説を行いました。相続した不動産の売却をご検討の方は、こちらの記事と合わせて、大手と中小の不動産会社、どっちを選ぶ?の記事をぜひお読みください。